DJI Avata 2 シネマティック設定ガイド

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DJI Avata 2でシネマティックな映像を撮るために、自分が使っているカメラ設定とPost Productionの手順をまとめました。DJI Goggle 3とDJI FPV送信機3を使ったマニュアルモードでの飛行1を前提とし、D-Log MとGyroflowを活用したワークフローです。

海外のAvata 2ユーザーのブログ記事やYouTubeから情報を集めて研究した設定で、現時点での最適解と考えています。

露出設定

撮影モードはマニュアルモードを使用し、ISOとシャッタースピードも手動で設定します。

ISOはできる限り低く抑えるのが基本で、ISO 100が理想的です。明暗差の大きいエリアを飛行する場合は、Auto ISOに切り替えると露出変化に対応しやすくなります。

シャッタースピードの設定は撮影スタイルによって異なります。いずれもNDフィルター使用時は「180度ルール」を適用し、シャッタースピードを撮影フレームレートの2倍の分母に設定します。

180度ルールとは

映画撮影で標準的に用いられるシャッター角度の慣習に由来します。フィルムカメラの回転シャッターが180度(半回転)開いている間に露光することから、露光時間がフレーム間隔の半分になります。デジタルカメラでは「シャッタースピード = 1 /(フレームレート × 2)」と換算します。このルールに従うと、人間の目に自然に見える適度なモーションブラーが得られ、映画的(シネマティック)な質感になります。シャッタースピードをこれより速くするとブラーが減りパラパラとした硬い映像に、遅くするとブラーが過剰になり不明瞭な映像になります。

  • 通常のシネマティック撮影
    • 60FPS / シャッタースピード1/120秒 / NDフィルター使用
    • 60FPSで撮影するのはゴーグルのライブビューがカクつかないため
  • スローモーションを前提とした撮影
    • 100FPS / シャッタースピード1/200秒 / NDフィルター使用 / 16:9(100FPSは16:9限定)
  • アグレッシブなフリースタイル撮影
    • 60FPS / NDフィルターなし / 適正露出になるようシャッタースピードを上げて調整

ND濃度は撮影環境の明るさに応じて選びます。私はK&F ConceptのND/PL複合フィルター(ND8/PL〜ND64/PL)を使用しています2

撮影環境推奨ND
曇天・薄暮ND8/PL
標準的な屋外ND16/PL
晴天ND32/PL
直射晴天・水面反射等ND64/PL

ホワイトバランス

ホワイトバランスは手動で設定します。オートホワイトバランスは飛行中に色温度が変動し、Post Productionでの補正が困難になるため使用しません。撮影状況に応じた目安は以下のとおりです。

  • 晴天:5600K(一般的な基準:5500〜6000K)
  • 曇り:6300K以上(一般的な基準:6000〜7000K)
  • 日の出・日の入り:5700K(一般的な光源の色温度は3000〜4500Kだが、ここではあえて高めに設定することで暖色を強調し、ゴールデンアワーの雰囲気を演出する意図)

D-Log Mで撮影する場合、ホワイトバランスはPost Productionのカラーグレーディングでも調整可能です。撮影時の設定に迷う場合は、ニュートラルに近い値で撮影しておき、Post Productionで追い込む方法もあります。

解像度とフレームレート

解像度は4Kを使用します。フレームレートは60FPSを推奨します(30FPSにするとゴーグルのライブ映像でカクつくことがあります)。スローモーション撮影には4K・100FPSを使用します(16:9限定)。

カラープロファイル

撮影時に選べるカラープロファイルは、ノーマルカラーとD-Log Mの2種類です。どちらを選ぶかで、撮って出し寄りの運用にするか、Post Productionで追い込むかという方向性が決まります。

  • ノーマルカラー:カメラからそのまま使える色合いが得られるが、ダイナミックレンジが狭く、カラーグレーディングの調整幅は限られる
  • D-Log M:ダイナミックレンジが大幅に広がり、カラーグレーディングの自由度が高い。扱いやすく、きれいに仕上げやすい

シネマティックな仕上がりを目指す場合はD-Log Mを選択します。後述するSkyGrades LUTもD-Log M向けに設計されているため、このワークフローでは事実上D-Log Mが前提となります。

画角と手ぶれ補正

手ぶれ補正はRockSteadyを使用せず、EISをオフにしてGyroflowでPost Production補正します。EISオフ時にジャイロデータが記録され、Gyroflowに通すことでRockSteadyよりもなめらかな仕上がりが得られます。

Gyroflowを使用するための条件は以下のとおりです。

  • EIS(電子手ぶれ補正)をオフにする
  • FOVをワイドに設定する(ジャイロデータが記録されるのはワイド設定時のみ)

FOVについて、ノーマルは画角が狭すぎるため非推奨です。ウルトラワイドはGyroflowに対応しておらず、歪みも大きくなるため使用しません。

アスペクト比は通常4:3を推奨します。4:3はセンサーの全画角を使うため、Gyroflowの補正マージンが広く取れます。また、16:9や9:16に後からリフレームも可能です。ただし、スローモーション撮影(100FPS)は16:9限定のため、Gyroflowの補正マージンが狭くなる点に注意してください。

ゲインとExpoチューニング

この項目はカメラ設定ではなく、コントローラーのスティック感度と飛行特性の設定です。一般に「Rate」と呼ばれるものです。

シネマティックな映像には滑らかな飛行操作が不可欠なため、飛行スタイルに応じた調整が必要です。 しかし、個人の感覚に依存するもので最適値は個人差があるため、自分に合う値を探してみてください。

以下は私のシネマティック撮影向け設定例です。

設定の意図としては、ロールとピッチはある程度の機動性を確保しつつ、中央付近の操作が滑らかになるよう、Expoを高めにしています。ヨーはセンター感度と最大レートを大きく下げ、パン動作が急激にならないよう調整しています。シネマティック撮影ではヨーの滑らかさが映像品質に直結するため、意図して鈍感に設定しています。

カメラアングル(チルト角)

カメラアングルは飛行速度と映像の見え方に直結します。角度が大きいほど高速で飛行でき、映像のスピード感も増します。一般的な目安は以下のとおりです。

飛行スタイル推奨角度
スローなシネマティック(cinewhoop的)10度以下
通常のシネマティック巡航15〜25度
フリースタイル25〜35度
レース45度以上

私は30度にしています。 マニュアルモードでのダイナミックなシネマティック撮影を前提とし、ダイブや高速巡航を含む積極的な飛行に対応しつつ、シネマティックの範囲に収まる角度として設定しています。その場の飛行スタイルで変更するのもよいでしょう。ただし、慣れない内は決まったアングル角で飛ばすほうが感覚をつかみやすいです。

その他のカメラ設定

  • シャープネス:-2(最低値。インカメラのシャープニングは破壊的処理のため、最低に設定しPost Productionで適用する)
  • ノイズリダクション:-2(最低値。インカメラのNRはディテールを潰すため、最低に設定しPost Productionで処理する)
  • センターマーカー:オン(画面中央に「X」を表示。隙間やゲートを通過する際の照準に使用)
  • グリッドライン:オン(三分割法の構図補助線を表示。映像の構図を意識した撮影に有用)

安全設定と機体保護

大前提ですが、Avata2は100g以上の機体のため航空法の遵守が必要です。

  • DIPS2.0での機体登録とリモートID搭載
  • 認証機体でないため、包括申請による飛行承認が必須
  • DIPS2.0での飛行計画通報は必須
  • 国土交通省の定める書式にて飛行日誌の作成が必要

映像設定とは直接関係ありませんが、安全な飛行のために以下の設定を推奨します。

  • RTH高度:屋外では周囲の障害物より高い高度を設定する
  • 電波ロスト時の動作:屋外でRTHが可能な環境ではRTH、屋内などRTHが適さない環境ではホバリングに設定する
  • 最大高度:日本の航空法では150m未満の制限があるため、120mに設定する

また、以下のアクセサリの装着を推奨します。

  • NDフィルター:露出調整だけでなく、レンズ保護としても有効
  • ジンバルバンパー:墜落時のジンバルとカメラへのダメージを軽減する
  • モーターカバー: 砂浜などでの撮影時モーターへの砂やゴミの侵入を防止する
  • プロペラガード:屋内や近接飛行時の衝突ダメージを軽減する

Post Productionの全体の流れ

(2026-05-29更新:Post Productionの手順を見直しました)

Post Productionでは、次のような流れになります。なお、DaVinci Resolveを前提としています。

  1. Timelineの設定と編集
  2. Gyroflowでのぶれ補正
  3. カラーグレーディング
  4. モーションブラーの付加

以下、それぞれの工程について説明します。

Timelineの設定と編集

まずDaVinci ResolveのProject SettingにてTimelineの設定を行ないます。 DJI Avata 2はUltra HD(UHD)で動画記録しているので、TimelineもUHDにしておきます。

Frame Rateは撮影時と同じ60FPSに設定します。60FPSで撮影した素材のフレームレートをタイムライン上で24FPSや30FPSに下げても、各フレームが持つ1/120秒のブラー量は変わらないため、シネマティックなモーションブラーが自然に増えるわけではありません。シネマティックな質感は、フレームレートを下げるのではなく、後述のRSMBでブラーを付加して作ります。

DJI Air 3Sなど他のカメラの素材と混在させる場合も、撮影時にあらかじめ60FPSへ揃えておくのが原則です。フレームレートの異なる素材を1つのタイムラインに混在させると、リタイミングによるカクつきの原因になります。

Gyroflowによる手ぶれ補正

すべての素材に対して、まずGyroflowで手ぶれ補正を適用します。EISオフ・FOVワイドで撮影した素材にはジャイロデータが記録されており、 Gyroflowに通すことでRockSteadyよりもなめらかな補正が得られます。

Gyroflowのパラメータ設定には、gyrotriageの記事を参照してください。

カラーグレーディング

D-Log Mで撮影した場合は、LUTを適用してカラーグレーディングを行います。推奨はFilm Poets SkyGrades Collection(Natural + Cinemaのセット)です。

SkyGradesが優れている理由は以下のとおりです。

  • DJI機種ごとのD-Log Mカラーサイエンスに合わせて個別設計されており、汎用LUTにありがちな色の破綻が起きにくい
  • D-Log Mのフラットなガンマカーブを数学的に補正し、ダイナミックレンジを最大限維持したまま自然な色を再現する
  • 過度に彩度を上げない設計で、緑の色被りなどDJI特有の問題を補正する
  • NaturalとCinemaの2種類をブレンドすることで、自然な色味からシネマティックな色味まで1つのワークフローでカバーできる

DaVinci Resolveでの適用手順は以下のとおりです。

  1. Node 1にSkyGrades Natural LUTを適用
  2. シリアルNode 2を追加しSkyGrades Cinema LUTを適用
  3. 各ノードのKey Output Gainを調整して、Naturalの補正強度とCinemaのスタイル強度をそれぞれ好みに合わせる(FCPの公式ガイドではMix 0.5を起点に紹介されている)

モーションブラー(RSMB)

撮影は4K 60FPS・シャッタースピード1/120秒(180度ルール)で行っています。この設定は60FPSでは適正な露光ですが、24FPS・1/48秒で撮影した映画のような大きめのモーションブラーは持たず、動きがシャープでビデオ的な印象になります。

フレームレートを24FPSや30FPSに下げても、各フレームが持つ1/120秒のブラー量は変わらないため、モーションブラーが自然に増えるわけではありません。そこでフレームレートは60FPSのまま維持し、RSMB(ReelSmart Motion Blur)で1/48秒相当のブラーを付加して映画的な質感を作ります。RSMBはフレーム間のモーションベクトルを解析してブラーを合成するOFXプラグインです。

RSMBはEditページでも適用できますが、LUTの後段でグレーディング済みの映像に対して処理するため、Colorページで適用します。前述のカラーグレーディングでSkyGrades LUTを適用したNode 2の後ろにシリアルNode 3を追加し、そのノードにRSMBを適用します。

ブラー量はRSMBのBlur Amountで調整します。Blur Amountは1.0がシャッター角360度(フレーム間隔いっぱいのブラー、60FPSでは1/60秒相当)、0.5が180度(1/120秒相当)に対応します。目標の1/48秒は「(1/48秒) ÷ (1/60秒) = 1.25」となるため、Blur Amountを1.25に設定すると1/48秒相当のブラーになります。

ただし素材にはすでに1/120秒の実ブラーが含まれているため、まずBlur Amountを1.0〜1.25の範囲で適用し、映像を見ながら好みのブラー量に追い込んでください。

作例

冒頭で紹介した映像は、千葉県・根本海水浴場で撮影しました。安全マージンを優先して高度を高めに取っています。

  1. 著者は二等無人航空機操縦士のライセンスを取得し、目視外飛行の限定解除と包括飛行申請をしたうえでマニュアルモードでのFPV飛行を実施している。これらを取得していない場合は、補助者の配置または個別の飛行許可・承認が必要となる。

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