『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が観られない - アニメに占拠された映画館

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楽しみにしてた『プロジェクト・ヘイル・メアリー』だが

原作小説で読んだ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』がハリウッドで映画化され、3月20日から日本でも公開が始まりました。『火星の人』で知られるアンディ・ウィアーによる本格SFで、緻密な科学描写と登場人物同士のやり取りがとにかく魅力的な作品です。読み終えたときから「これはぜひ映画館の、できればIMAXの大画面で観たい」と楽しみにしていた一本でした。

そろそろ公開から1ヶ月になるので見に行こうかと、いつも行くイオンモール幕張新都心の映画館の上映スケジュールをチェックすると、IMAX上映はとっくに打ち切られており、2D上映も1日1枠しか残っていません。評判も悪くなかったので5月くらいまでは普通に観られるだろうと考えていましたが、完全に見通しが甘かったようです。

足を運ぶ気力がすっかり萎えてしまって、「もう配信待ちでいいか」という気分になっています。IMAXで宇宙空間の臨場感を味わうつもりだっただけに、残念でなりません。

なぜこんなに早くハリウッドの超弩級作品の上映がなくなるのか

原作小説は日本でも累計75万部と、SF作品としては異例の売れ方をしています。映画の方も初日の興行収入が約1億7000万円、動員数は約9万8000人で、2026年洋画No.1のスタートを切りました。公開3日間の動員数は23万3310人、興行収入は4億円超。世界的にも公開2週目で累計興行収入が3億ドルを突破し、Amazon MGMスタジオ統合後の最大ヒット作となっています。

これだけの話題作が、公開1ヶ月で1日1枠、しかもIMAXからは撤退という扱いになるのは、いったいどういうことなのでしょう。

参考までに、同じ日のイオンモール幕張新都心の映画館の上映スケジュールを下に並べてみます。

時刻 S1S2S3S4S5S6S7S8S9S10IMAX
08:00
08:30人はなぜラブレターを書くのか2025 INI LIVE XQUARE私がビーバーになる時名探偵コナン ハイウェイの堕天使名探偵コナン ハイウェイの堕天使ドラえもん新・のび太の海底鬼岩白鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来名探偵コナン ハイウェイの堕天使
09:00名探偵コナン ハイウェイの堕天使
09:30
10:00
10:30名探偵コナン ハイウェイの堕天使
11:00きかんしゃトーマス 一緒に歌おうドラえもん新・のび太の海底鬼岩白名探偵コナン ハイウェイの堕天使
11:30名探偵コナン ハイウェイの堕天使名探偵コナン ハイウェイの堕天使90メートル私がビーバーになる時
12:00
12:30名探偵コナン ハイウェイの堕天使人はなぜラブレターを書くのか
13:00超かぐや姫!ドラえもん新・のび太の海底鬼岩白
13:30ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です! 第四幕名探偵コナン ハイウェイの堕天使鬼の花嫁名探偵コナン ハイウェイの堕天使名探偵コナン ハイウェイの堕天使
14:00銀魂 -吉原大炎上-
14:30
15:00私がビーバーになる時名探偵コナン ハイウェイの堕天使
15:30ウィキッド永遠の約束超かぐや姫!
16:00名探偵コナン ハイウェイの堕天使名探偵コナン ハイウェイの堕天使人はなぜラブレターを書くのか
16:30君が最後に遺した歌名探偵コナン ハイウェイの堕天使
17:00
17:30プロジェクト・ヘイル・メアリー名探偵コナン ハイウェイの堕天使銀魂 -吉原大炎上-
18:00
18:30超かぐや姫!ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編名探偵コナン ハイウェイの堕天使名探偵コナン ハイウェイの堕天使人はなぜラブレターを書くのか
19:00えんとつ町のプペル約束の時計台名探偵コナン ハイウェイの堕天使
19:30
20:00
20:30教場Requiem超かぐや姫!ほどなく、お別れです
21:00ザ・ブライド!名探偵コナン ハイウェイの堕天使人はなぜラブレターを書くのか
21:30ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です! 第四幕名探偵コナン ハイウェイの堕天使鬼の花嫁名探偵コナン ハイウェイの堕天使
22:00
22:30
23:00
23:30

確認してちょっと気持ち悪くなりました。原因は「アニメ」でした。

全スクリーンで1日計56回ある上映枠のうち、およそ40%(23枠)を『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』1本が占めています。とりわけスクリーン5・7・IMAXの3面は朝から夜までほぼコナン専用で、他作品の入り込む余地がほとんどありません。営業中の10スクリーンの稼働時間で見ても、約3分の1がこの1作で埋まっている計算になります。

人気コンテンツなのはわかりますが、ここまで専有されると憎しみさえ沸いてきます。原作連載時は1〜2年ほど私も読んでいましたが、作者に物語を終結させる気がないのだと見切りをつけて読むのを止めました。今のアニメにも全く興味がないのです。

そして、コナン以外に目を移しても、この表を埋めているのはほとんどアニメ作品です。『鬼滅の刃 無限城編』『ドラえもん』『超かぐや姫!』『ガールズ&パンツァー』『銀魂』『えんとつ町のプペル』『きかんしゃトーマス』が並び、集計するとアニメだけで稼働時間の6割近くを占めています。一方で洋画は『ウィキッド永遠の約束』『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『ザ・ブライド!』のわずか3本、しかもいずれも1日1枠です。

まとめ

休日の上映スケジュールだからファミリー向けのアニメが強く出るのは理解できます。とはいえ、1作品で全枠の4割、ジャンル全体で6割近くがアニメという偏り方を目の当たりにすると、わざわざ映画館に足を運ぼうという気持ちも萎えてしまいます。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が公開1ヶ月でIMAX撤退・1日1枠まで縮小されるのは、この1作だけの不運ではなく、日本の映画館における洋画の地盤沈下を象徴しているように思えてなりません。話題作ですらこの扱いなら、後続の洋画はもっと短命に終わるでしょう。

「IMAXの大画面で体験したい作品」を楽しみにしていた身としては、こうした配給・編成が続くかぎり、結局「配信待ち」を選ぶ機会ばかり増えていきそうです。映画館でしか得られないはずの体験価値が、観客と運営の双方から少しずつ削られているように感じます。