RICOH GR IV Monochrome を買うべき理由と推奨設定

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これまで使ってきたRICOH GR IIIx HDFを手放し、RICOH GR IV Monochrome を購入しました。モノクロ写真しか撮れない、店頭価格で28万円前後という、かなりニッチで高価なカメラです。一見すると不便さにお金を払ったようにも見えますが、しばらく持ち歩いてみて、この選択には理由があったと感じています。

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40mm の GR IIIx を手放した理由

GR IIIxは、35mm判換算で40mm相当の単焦点レンズを積んだモデルです。スマートフォンのカメラは広角寄りの画角が主役なので、GR IIIxの40mmとはちょうど守備範囲が分かれます。広く写したいときはスマートフォン、もう少し寄って切り取りたいときはGR、という使い分けが自然にできました。標準レンズに近い40mmは被写体との距離感もつかみやすく、スナップ用のサブ機としてとても便利でした。

それでも手放したのは、純粋にGR IV Monochromeが欲しかったからです。便利なカメラを失う惜しさはありましたが、モノクロ専用機がどんな写真を見せてくれるのか、どうしても自分で試してみたくなりました。

モノクロ専用センサーの鮮明さ

GR IV Monochromeの核心は、モノクロ撮影に特化したAPS-CサイズのCMOSセンサーです。有効画素数は約2574万画素で、ここまでは標準のGR IVと大きく変わりません。決定的に違うのは、このセンサーがカラーフィルターを持たないことです。

一般的なカラーセンサーは、画素ごとに赤・緑・青いずれかのカラーフィルターを敷き詰めたベイヤー配列になっています。各画素は一色分の明るさしか記録できないため、足りない色は周囲の画素から補間して作り出します。モノクロ専用センサーはこのカラーフィルターを持たず、補間処理も行いません。すべての画素が輝度をそのまま受け取るので、解像感が高まり、高感度でのノイズ耐性も向上します。ISO 409600までの高感度を実現できているのも、この構造によるものです。

実際に撮ってみると、撮って出しの鮮明さに驚かされました。輪郭のキレと階調のなめらかさが両立していて、カラー機で撮った写真をモノクロ現像した画像とは明らかに質感が違います。色を捨てた代わりに、明暗の情報をすべて画作りに回している、と言えばよいでしょうか。

もうひとつGR IV Monochromeならではの装備が、内蔵の赤フィルターです。標準のGR IVが内蔵するNDフィルターの代わりに、こちらには赤フィルターが組み込まれています。デジタルの効果ではなく、センサーに光が届く前に物理的に作用するフィルターなので、カラーフィルターを持たないモノクロセンサーではフィルム時代と同じように効きます。青空を暗く落としてコントラストを強めるという古典的な表現を、カメラ内で完結させられます。

スナップシューターには28mm

GR IV Monochromeのレンズは、35mm判換算で28mm相当のF2.8です。GRが長くスナップシューターとして支持されてきたのも、この28mmという画角あってのことです。

28mmは被写体だけでなく、その周囲の状況までフレームに収まります。歩きながら素早くカメラを構えても破綻しにくく、ファインダーを覗かずに撮っても画面が成立します。とっさの一枚を拾うには、やはり28mmのほうが扱いやすいと感じます。40mmは意図してフレーミングする画角で、それはそれで楽しいのですが、反射的に切り取るスナップとは少し相性が違います。

スマートフォンとの画角のすみ分けという点では、40mmのGR IIIxに分がありました。28mmはスマートフォンのメインカメラと画角が近いからです。それでも、同じ画角ならセンサーサイズと写りの差は歴然としています。スナップ機として気軽に構えられるのは、やはり28mmだと感じています。

マニュアルモードのISO感度の目安

使い始めたばかりですが、基本はマニュアルモードで撮っています。絞りとシャッタースピードは被写体と意図に応じてその都度決め、ISOだけはシーン別の目安を次の表にまとめます。

シーンISO備考
晴天屋外160ベース感度で粒子感を抑える
曇天・日陰400コントラストが落ちるシーン
室内(窓際・明るい)800自然光メインの環境
室内(一般・カフェ)3200蛍光灯・電球下
夕暮れ・マジックアワー1600光量変動が速いシーン
夜のスナップ6400グレイニーと相性良
夜の暗所(街灯のみ等)25600ノイズは意図的に活かす

表のISOは、シーンに入った時点でまず決め打ちする値です。絞りとシャッタースピードは、そのISOを前提として、被写界深度や動きの表現意図に応じて自由に決めています。

許容できるISOの上限は、選んでいるイメージコントロールによって変わります。グレイニーはISOを上げ気味にしても破綻しにくいので、102400あたりまでを許容範囲としています。一方、スタンダードとソリッドはノイズが目立ちやすいため、スタンダードは1600、ソリッドは800を上限の目安にしています。

ユーザーモードの設定

マニュアルモードを基本にしつつ、ユーザーモードも併用しています。ユーザーモードは6つまで登録でき、そのうち3つをモードダイヤルに割り当てられるので、ダイヤルには現在この3つを設定しています。

U1 Street

街歩きで最も多用する設定です。通常はオートエリアAFと顔・瞳検出にまかせつつ、シャッターボタンを一気に押し込むフルプレススナップを有効にしているので、とっさの場面ではAFの合焦を待たず約2.5mの位置で即座に切り取れます。絞りはF5.6で被写界深度を確保し、ISOの上限を102400まで開放しているため、日中から夜の街灯下まで設定を変えずに対応できます。粒子が乗っても作品として成立するグレイニーを選んでいるのも、この広い感度幅を許容するためです。

  • フォーカス オートエリアAF
  • 顔・瞳検出オン
  • フルプレススナップ オン
  • スナップ撮影距離2.5m
  • 露出モードAv
  • 絞りF5.6
  • ISO Auto、下限160、上限102400
  • 低速限界値1/320秒
  • 露出補正 -0.3EV
  • 測光中央重点
  • イメージコントロール グレイニー
  • 赤色フィルター オフ(Fnで都度オン)

U2 Cafe

カフェや店内で、料理や小物をじっくり撮るための設定です。被写体が静止しているのでフルプレススナップは切り、ピンポイントAFで狙った一点に正確にピントを合わせます。絞りはF2.8まで開けて室内の光を取り込みながら背景を軽くぼかし、測光はハイライト重点にして窓際の明るさで白飛びさせないようにしています。粒子は抑えたいので、イメージコントロールはスタンダード、ISOの上限も12800までにとどめています。

  • フォーカス ピンポイントAF
  • 顔・瞳検出オフ
  • フルプレススナップ オフ
  • 露出モードAv
  • 絞りF2.8
  • ISO Auto、下限160、上限12800
  • 低速限界値1/60秒
  • 露出補正 -0.3EV
  • 測光ハイライト重点
  • イメージコントロール スタンダード
  • 赤色フィルター オフ

U3 Landscape

風景を画面の隅々までシャープに写すための設定です。フォーカスを5m固定のスナップにし、F8まで絞り込むことで、手前から奥までピントの合ったパンフォーカスが得られます。測光は画面全体をバランスよく見る分割測光、イメージコントロールはコントラストの強いソリッドにして、風景の輪郭を引き締めます。青空を深く落としたいときは、Fnボタンに割り当てた赤色フィルターをその場でオンにします。

  • フォーカス スナップ
  • 顔・瞳検出オフ
  • スナップ撮影距離5m
  • 露出モードAv
  • 絞りF8
  • ISO Auto、下限160、上限6400
  • 低速限界値1/80秒
  • 露出補正 -0.3EV
  • 測光分割
  • イメージコントロール ソリッド
  • 赤色フィルター オフ(Fnで都度オン)

作例

購入してはじめての散歩で撮った写真を、Flickrのアルバム「First Walk with GR IV Monochrome」にまとめました。

First Walk with GR IV Monochrome

まとめ

GR IV Monochrome は人気が高く、私の場合も入手までにそれなりの時間がかかりました。簡単に手に入るカメラではありません。それでも、モノクロしか撮れないという割り切りは、思っていたほど不自由ではありませんでした。色という情報がない分、光と陰、そして質感だけに集中できます。決して安い買い物ではありませんでしたが、今のところとても満足しています。